DELLのパソコン購入時、カスタマイズ画面に必ず表示されるオプション「DELLのアクシデンタルダメージ」。
そもそもアクシデンタルダメージとは何か、標準の保証と何が違うのか、そしてその保証は本当に必要なのか、多くの人が迷うポイントです。
万が一の際の修理回数や具体的な価格、保証延長の料金体系も分かりにくく、判断が難しいと感じるかもしれません。
この保証はつけるべきか、それとも付けずに高額なDellの液晶交換費用はいくらかかるのかを覚悟するべきか。
この記事では、あなたのDELLパソコンを不慮の事故という予期せぬトラブルから守るための最適な選択ができるよう、サービス内容から必要性まで、一歩踏み込んで徹底的に解説します。
DELLのアクシデンタルダメージの基本を解説
- アクシデンタルダメージとは?
- 気になる価格はいくら?
- 修理の上限回数はある?
- 保証延長の料金について
- 購入後に後から追加できる?
アクシデンタルダメージとは?

DELLのアクシデンタルダメージとは、一言でいえば「使用者の過失による、突発的かつ不慮の物損故障」を保証してくれる特別なサービスです。
DELLのすべてのパソコンに付帯する通常のメーカー保証(ベーシックサポート等)が、製品内部の欠陥による「自然故障」のみを対象とするのに対し、このサービスは外部からのアクシデントによって生じた物理的な損害を幅広くカバーしてくれます。
具体的には、日常生活で起こりうる以下のようなケースが保証の対象となります。
- 落下・衝突:持ち運び中に手を滑らせてコンクリートに落としてしまった、満員電車で圧迫されて液晶が割れてしまった。
- 水濡れ(液体こぼし):デスクで作業中にコーヒーやジュースをキーボード上にこぼしてしまった。
- 過電流:落雷によるサージ電圧や、品質の悪い電源タップの使用で内部の電気回路がショートした。
通常の保証では全額自己負担の有償修理となるこれらのケースでも、アクシデンタルダメージに加入していれば無償で修理を受けられるのが最大のメリットです。
精密機器の塊であるパソコン、特に持ち運ぶ機会が多く事故のリスクが高いノートパソコンにとっては、非常に価値のある「保険」と言えるでしょう。
通常のハードウェア保証との決定的な違い
DELLのPCには標準で「ベーシックサポート」などのハードウェア保証が1年間付帯します。
これは、通常の使用範囲内で発生した部品の故障(例:突然マザーボードが認識しなくなった、メモリが故障した)を対象とするものです。
一方でアクシデンタルダメージは、使用者自身の「うっかり」による物理的な破損をカバーする、全く性質の異なる保証となります。
この2つは補完関係にあり、両方があって初めて安心してPCを利用できるのです。
気になる価格はいくら?

アクシデンタルダメージの価格は、購入するパソコンのモデル(Inspiron, XPS, Alienwareなど)や選択する保証期間によって変動しますが、万が一の際に発生する高額な修理費用と比較すると、驚くほど手頃な価格設定になっています。
例えば、DELLの人気ノートパソコン「Inspiron 15」の場合、1年間のアクシデンタルダメージ(盗難なし)を追加するための料金はわずか1,373円です(2025年4月時点のデータ)。
液晶パネルの破損や水濡れによるマザーボード交換には数万円の費用がかかることを考えれば、この価格で1年間の安心が手に入るコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
もちろん、XPSやAlienwareといったハイエンドモデルでは、部品が高価なため保証料金も上がります。
だからこそ、高価なPCほど、この保証の価値はさらに高まるとも言えるでしょう。
正確な料金の確認方法
ご自身の希望するモデルの正確な料金は、DELL公式サイトで製品を選び、購入手前のカスタマイズ画面で確認するのが最も確実です。
「保証とサービス」の項目で希望の期間や種類を選択すると、リアルタイムで正確な金額が表示されますので、購入を決定する前に必ずチェックしましょう。
修理の上限回数はある?

アクシデンタルダメージの大きな魅力であり、他のPCメーカーの保証と比較しても優れている点の一つが、修理回数に関する規定です。
驚くべきことに、保証期間内であれば、物損事故による修理回数に上限はありません。
つまり、1年間の保証期間中に不慮の事故で春に液晶を割り、秋に水をこぼしてしまったとしても、その都度無償で修理サービスを受けられるのです。
ただし、これには一つだけ重要な例外があります。
それは追加オプションである「盗難対応」を利用した場合です。
盗難による「交換」は1回のみ
盗難に対応するプランを選択し、実際に盗難に遭って同等品との「交換」が行われた場合、その時点でアクシデンタルダメージのサービス契約は完全に終了となります。
その後、手元に届いた交換品が落下などで破損しても、保証の対象にはならないため、この点は明確に理解しておく必要があります。
通常の落下や水濡れといった「修理」対応に関しては、期間内であれば何度でも利用できるため、特にPCの取り扱いに不安がある方でも、大きな安心感を持って日々の作業に集中することができます。
保証延長の料金について

アクシデンタルダメージは、PC本体の保証期間に合わせて1年から最大5年まで延長することが可能です。
当然、保証期間が長くなるほど料金は上がりますが、1年あたりの単価で計算すると長期契約の方が割安になる傾向があり、長期的に安心して使いたい方には延長を強くおすすめします。
ここでも「Inspiron 15」を例に挙げると、3年間のベーシック保証にアクシデンタルダメージを追加する場合の料金は2,640円(盗難なし)です。
1年あたりに換算するとわずか880円となり、1年契約を毎年更新するよりも遥かにお得な価格で3年間の安心を手に入れることができます。
保証期間 | アクシデンタルダメージ料金(盗難なし) | 1年あたりの料金目安 |
---|---|---|
1年間 | 1,373円 | 1,373円 |
3年間 | 2,640円 | 880円 |
4年間 | 6,548円 | 1,637円 |
※上記は「Inspiron 15」の一例です。
料金はモデルや選択する基本保証の種類によって異なります。
長期利用を見据えた賢い選択
ノートパソコンの平均的な寿命は約5年と言われていますが、バッテリーなどの消耗部品は2~3年で劣化が見られることも少なくありません。
例えば大学の4年間、あるいは次のPC買い替えまでの3~4年間、故障の心配なく使い切りたいと考えるのであれば、その期間に合わせて保証を延長しておくことは、非常に合理的な投資と言えるでしょう。
購入後に後から追加できる?

この点は、DELLの保証を検討する上で最も重要な注意点です。
結論から言うと、原則として、DELLのアクシデンタルダメージはパソコンの購入時に同時に申し込む必要があります。
「とりあえずPC本体だけ注文して、物損保証は必要になったら後で考えよう」という選択は基本的にできません。
これは、購入後に発生した損傷に対して後から保証を適用する、といった不正を防ぐためのメーカーとして当然の措置です。
海外のユーザーフォーラムなどでは、購入後にサポートと直接交渉し、標準の保証プラン自体をより上位の「プレミアムサポートプラス(アクシデンタルダメージが内包されている)」に有償アップグレードすることで、結果的に追加できたという報告も稀に見られますが、これはあくまで例外的なケースであり、確実ではありません。
追加は「購入時」が絶対の鉄則!
後から追加しようとすると、手続きが煩雑になるだけでなく、余計な費用がかかったり、最悪の場合は追加を断られたりする可能性が非常に高いです。
少しでもアクシデンタルダメージの必要性を感じるのであれば、必ずPCの注文手続き中にオプションとして選択してください。
注文を確定する前の最後の確認画面で、保証内容が意図したものになっているか、再度チェックする習慣をつけましょう。
DELLのアクシデンタルダメージの必要性と注意点
- Dellの液晶交換費用はいくらか?
- どんな人に必要か解説
- 盗難も保証対象になる?
- 結局、保証はつけるべき?
- DELLのアクシデンタルダメージまとめ
DELLの液晶交換費用はいくらか?

アクシデンタルダメージに加入するかどうかを最終的に判断する上で、最も重要な比較対象が「保証なしで万が一の事故が起きた場合の修理費用」です。
DELLの公式サイトに記載されている情報によると、保証対象外の修理にかかる費用の目安は、約17,600円から64,900円とされています。
特にノートパソコンで最も破損しやすく、かつ修理費用が高額になりがちな部品の一つが液晶パネルです。
昨今の高解像度・タッチ対応・有機ELといった高性能なディスプレイの場合、修理費用は上限の64,900円に近づくか、あるいはそれを超える可能性もゼロではありません。
さらに、水濡れでマザーボードの交換が必要になった場合は、一般的なPC修理専門サイトの情報を見ても10万円を超えるケースは珍しくなく、PC自体の買い替えを検討せざるを得ない状況に陥ります。
アクシデンタルダメージ | 保証なしの有償修理 | |
---|---|---|
費用(Inspiron 15 / 3年間) | 2,640円(固定) | 約17,600円~100,000円超(変動) |
特徴 | 期間内は何度でも修理可能 | 故障のたびに高額な費用が発生 |
わずか数千円の保証料金を惜しんだ結果、数万円から十数万円の予期せぬ大きな出費につながるリスクがあることを考えれば、この保証が一種の「賢い金融商品」として、いかに有効であるかがお分かりいただけるでしょう。
どんな人に必要か解説

では、具体的にどのような利用スタイルの人にアクシデンタルダメージが必要なのでしょうか。
結論から言えば、持ち運ぶ可能性があるノートパソコンを利用する、ほぼすべての方におすすめできますが、特に以下のような状況に一つでも当てはまる方は、加入を強く推奨します。
こんな人には特におすすめ!
- PCを頻繁に持ち運ぶ人:カフェや大学、職場、出張先など、自宅外でPCを使う機会が多い場合、移動中の落下や衝撃のリスクは格段に高まります。
- 小さなお子さんやペットがいるご家庭:子供がおもちゃをぶつけたり、ペットがケーブルに足を引っ掛けてPCを落下させたり、といった家庭内の事故は後を絶ちません。
- 過去に電子機器を壊した経験がある人:「自分は大丈夫」と思っていても、過去にスマートフォンを落としたり、飲み物をこぼしたりした経験がある方は、リスクが高いと言えます。
- 高価なハイエンドモデルを購入する人:XPSやAlienwareなど、20万円を超えるような高価なPCほど、修理費用も高額になります。大切な投資を保護する意味でも保証は必須です。
デスクトップでも無関係ではない?
デスクトップPCは動かさないから安心、と思いがちですが、掃除中に倒してしまったり、飲み物をこぼしたりするリスクはゼロではありません。
特に高性能なゲーミングPCなどは高価なため、利用環境によっては加入を検討する価値は十分にあります。
ご自身の利用スタイルやPCの価格、そして「万が一」への備えにどれだけ価値を感じるかを天秤にかけ、慎重に判断してみてください。
盗難も保証対象になる?

はい、オプションで盗難に対応したプランを選ぶことが可能です。
通常の物損保証に、モデルによっては数百円から千円程度を追加することで、万が一の盗難にも備えることができます。
カフェや図書館など、公共の場での利用が多い方にとっては魅力的なオプションです。
ただし、この盗難保証が適用されるためには、非常に厳格な条件があるため、その内容は加入前に正確に理解しておく必要があります。
盗難保証の厳格な適用条件
- 交換は1回限り:前述の通り、盗難で製品が交換された時点で、すべてのアクシデンタルダメージサービス契約は終了します。
- 日本国内での盗難のみ対象:海外出張や旅行中の盗難は対象外です。
- 警察への正式な届出が必須:最寄りの警察署に盗難届を正式に提出し、受理番号などをDELLに提示できなければ保証は受けられません。
- 不可抗力や置き忘れは対象外:戦争や暴動、自然災害(地震、洪水など)に起因する紛失や、単純な置き忘れ(紛失)は保証されません。
- (重要)デバイスの返却義務:DELLのサービス約款には「お客様は損傷したコンピュータデバイス全体をデルに返却する必要があります」という一文があります。これは、盗難されたデバイスが犯人から回収されたものの、破損していた場合に適用されると解釈でき、完全な紛失の場合は適用が難しい可能性があります。
より詳しい条件は、DELLの公式サイトにあるサービス契約およびサービス説明書で必ずご自身で確認してください。
条件は厳しいものの、お守りとして付帯させておく価値はあるかもしれません。
結局、保証はつけるべき?

これまでの情報を総合的に判断し、当サイトとしてはDELLのアクシデンタルダメージは、特にノートパソコンを購入するほとんどのユーザーにとって「つけるべき」必須のオプションであると結論付けます。
その最大の理由は、繰り返しになりますが、「事前に支払う少額な保証料金」と「事故発生時に支払う可能性のある高額な修理費用」との間に存在する、あまりにも大きな金額差です。
数千円の固定費用で、数万円から十数万円にものぼる可能性のある、予測不可能なリスクを数年間にわたって完全に回避できるメリットは計り知れません。
もちろん、非常に丁寧にPCを取り扱い、一度も保証の恩恵を受けることなく保証期間を終える可能性もあります。
しかし、事故は常に予測できないタイミングで起こるものです。
「あの時、あと数千円を惜しまなければよかった…」と大きな後悔をするリスクを未然に防ぐためにも、購入時に加入しておくのが最も賢明で合理的な判断と言えるでしょう。