「パソコンから流れている音楽や会議の音声を、マイクを使わずにクリアに録音したい」と思ったことはありませんか?
実は、Windows10にはパソコンの内部音声のみを録音する機能が標準で備わっています。
しかし、その設定方法が少し分かりにくく、多くの方が戸惑うポイントでもあります。
この記事では、パソコンの内部音声のみを録音したいWindows10ユーザーに向けて、その具体的なパソコン録音のやり方を分かりやすく解説します。
PCで再生している音を録音するにはどうすればいいのか、という基本的な疑問から、PC内部の音声を録音するためのステレオミキサーという重要な設定、画面録画をしたら内部音声が入らないのはなぜかといったトラブルシューティングまで、幅広くカバーします。
また、PC内部の音声録音フリーソフトを使った簡単な方法や、画面録画で内部音声のみを録音するにはどうすればいいかという応用テクニックも紹介。
さらに、Windows11でのサウンドレコーダー内部録音や、パソコン内部の音声のみをMacでする手順との比較も行い、パソコン音声録音に関するあらゆる悩みを解決します。
この記事を読めば、あなたも今日からPC内部音声の録音をマスターできるはずです。
パソコンの内部音声のみ録音する、Windows10の基本設定
- PCで再生している音を録音するにはどうすればいい?
- Windows10の基本的なパソコン録音やり方
- PC内部の音声を録音するステレオミキサーの設定方法
- おすすめのPC内部の音声録音フリーソフト
- 画面録画で内部音声のみを録音するには?
PCで再生している音を録音するにはどうすればいい?

パソコンの内部で再生されている音、例えばウェブ会議の音声やゲームのBGM、ストリーミング配信の音楽などを録音したい場合、方法は大きく分けて2つあります。
一つは、Windowsに標準で搭載されている機能を利用する方法です。
もう一つは、録音専用のフリーソフトを利用する方法です。
どちらの方法にもメリットとデメリットがあり、目的やPCのスキルに応じて選ぶのがおすすめです。
標準機能を使うメリットは、何より追加でソフトをインストールする必要がない点です。
手軽に始められますが、そのためには「ステレオミキサー」という機能を有効にする少し専門的な初期設定が必要になります。
一方、フリーソフトを利用するメリットは、簡単な操作で高音質な録音が可能な点や、録音した音声の編集機能が充実している場合が多いことです。
ただし、信頼できるソフトを選んでインストールする手間がかかります。
録音方法の選択肢
- Windows標準機能: 追加インストール不要。ただし初期設定が必要。
- 録音フリーソフト: 簡単で高機能。インストールとソフト選定の手間がかかる。
この記事では、まず基本となるWindowsの標準機能を使った録音方法を詳しく解説し、その後におすすめのフリーソフトも紹介していきます。
Windows10の基本的なパソコン録音やり方

Windows10には、「ボイスレコーダー」という音声録音アプリが標準でインストールされています。
このアプリを使えば、パソコンに接続されたマイクからの音声を簡単に録音できます。
しかし、初期設定のままではPC内部の音声を録音することはできません。
基本的な操作方法は非常にシンプルです。
- Windowsのスタートメニューから「ボイスレコーダー」を検索して起動します。
- 画面中央にある大きなマイクのアイコンをクリックすると録音が開始されます。
- もう一度同じボタン(停止アイコンに変わっています)をクリックすると録音が停止し、音声ファイルが自動的に保存されます。
このように、マイクからの音声を録音するだけであれば非常に直感的に使えます。
言ってしまえば、この手軽さがボイスレコーダーの魅力です。
ただ、今回のようにパソコンの内部音声のみを録音するためには、このボイスレコーダーに「どの音を録音するか」を教えるための事前準備が不可欠です。
それが、次の項目で解説する「ステレオミキサー」の設定なのです。
「ボイスレコーダー」はあくまで録音を実行するアプリで、どの音源(マイクなのか、PC内部の音なのか)を拾うかは、PC側のサウンド設定に依存する、と覚えておくと分かりやすいですよ。
PC内部の音声を録音するステレオミキサーの設定方法

パソコンの内部音声を録音するための最も重要な鍵、それが「ステレオミキサー」です。
これは、パソコン内で再生されている全ての音を一つにまとめて、録音アプリに渡すための仮想的なミキサー機能です。
多くのパソコンでは、初期状態でこの機能が無効になっているため、手動で有効にする必要があります。
少し手順が多く感じられるかもしれませんが、一度設定してしまえば、その後はいつでも内部音声を録音できるようになります。
以下の手順に沿って、慎重に設定を進めてください。
手順1:サウンドコントロールパネルを開く
まず、サウンド関連の詳細な設定を行うための画面を開きます。
- 画面右下のタスクバーにあるスピーカーアイコンを右クリックします。
- 表示されたメニューから「サウンド」をクリックします。(もし「サウンドの設定を開く」しかない場合は、それをクリックした後、表示された画面から「サウンド コントロール パネル」を探してクリックします)
手順2:ステレオミキサーを有効にする
開いたサウンドコントロールパネルで、ステレオミキサーを表示させて有効にします。
- ウィンドウの上部にある「録音」タブをクリックします。
- デバイス一覧の何もない空白部分を右クリックし、「無効なデバイスの表示」にチェックを入れます。
- すると、「ステレオミキサー」という項目が表示されます。これを右クリックし、「有効」をクリックしてください。
「ステレオミキサー」が表示されない場合、お使いのパソコンのサウンドドライバーが対応していない可能性があります。
その場合は、後述するフリーソフトを利用する方法をお試しください。
手順3:既定のデバイスとして設定する
最後に、ボイスレコーダーが優先的にステレオミキサーの音を拾うように設定します。
- 有効になった「ステレオミキサー」をもう一度右クリックし、「既定のデバイスとして設定」をクリックします。
- 緑色のチェックマークが付けば設定完了です。「OK」ボタンを押してウィンドウを閉じましょう。
この設定が完了した状態で、前述の「ボイスレコーダー」を起動して録音を開始すれば、パソコンで再生されている音声がそのまま録音されるようになります。
おすすめのPC内部の音声録音フリーソフト

「ステレオミキサーの設定が難しい」「お使いのPCでステレオミキサーが使えない」という方には、専用のフリーソフトを利用する方法が非常におすすめです。
これらのソフトは、複雑な設定なしにPC内部の音声を録音できるよう設計されています。
ここでは、定番で信頼性の高いフリーソフトをいくつか紹介します。
ソフト名 | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
Audacity | 高機能な音声編集も可能な定番ソフト。ノイズ除去やエフェクト追加など、録音後の加工も自由自在。 | 録音だけでなく、音声編集も本格的に行いたい人。 |
DemoCreator | 画面録画機能がメインだが、音声録音機能も非常に優秀。直感的な操作でPC内部音声とマイク音声を個別に録音できる。 | 音声だけでなく、ゲーム画面やプレゼンテーションなども一緒に録画したい人。 |
VideoProc Converter AI | 動画処理の多機能ソフトの一部として録音機能を提供。PC画面と内部音声を同時に高品質で記録できる。 | 録画したデータを他の形式に変換したり、圧縮したりする作業も多い人。 |
特に「Audacity」は、長年にわたり世界中のユーザーに利用されているオープンソースのフリーソフトで、非常に強力です。
ステレオミキサーが使えない環境でも、Audacityのオーディオホスト設定を「Windows WASAPI」にすることで、PC内部の音声を直接録音できる場合があります。
Audacityでの録音手順(WASAPI利用)
- Audacityを起動します。
- ツールバーにあるオーディオホストのドロップダウンメニュー(通常「MME」になっている)から「Windows WASAPI」を選択します。
- その隣のマイクのアイコンのドロップダウンメニューから、お使いのスピーカーやヘッドホン(Loopbackと表示されているもの)を選択します。
- 録音ボタンを押せば、PC内部の音声が録音されます。
このように、フリーソフトを使えば、PCの環境に左右されずに内部音声の録音を実現できる可能性が高まります。
画面録画で内部音声のみを録音するには?

オンライン講座やゲームプレイなど、映像と同時にPC内部の音声だけを記録したいケースも多いでしょう。
この場合、画面録画ソフトの設定を変更することで実現可能です。
結論から言うと、録画ソフトの音声設定で「マイク入力(外部音声)をオフ」にし、「システム音声(内部音声)をオン」に設定します。
Windows10に標準搭載されている「Xbox Game Bar」でもこの設定が可能です。
Xbox Game Barでの設定方法
- キーボードの「Windowsキー + G」を同時に押して、Xbox Game Barを起動します。
- 表示された「音声」ウィンドウで、マイクのアイコンをクリックしてミュート(斜線が入った状態)にします。
- 「キャプチャ」ウィンドウの録画開始ボタン(丸いアイコン)を押して録画を開始します。
Xbox Game Barは手軽ですが、デスクトップ全体の録画はできず、アクティブな一つのウィンドウしか録画できないという制限があります。
より自由な録画をしたい場合は、OBS Studioや前述のDemoCreatorのような高機能なソフトがおすすめです。
これらの専用ソフトでは、システム音声とマイク音声を別々のトラックとして録音できるものも多く、後から「BGMは残しつつ、自分の声だけ消す」といった高度な編集も可能になります。
いずれにしても、録画開始前に音声入力の設定を確認することが、不要な音を入れずにクリアな記録を残すための重要なポイントです。
パソコンの内部音声のみ録音、Windows10の応用と注意点
- 画面録画をしたら内部音声が入らないのはなぜ?
- Windows11での内部音声の録音方法
- サウンドレコーダー内部録音のポイント
- パソコン内部音声のみ録音Macでの手順
- 知っておきたいパソコン音声録音の注意点
- パソコンの内部音声のみ録音【Windows10版】の方法まとめ
画面録画をしたら内部音声が入らないのはなぜ?

「設定は完璧なはずなのに、録画・録音したデータを確認したら内部音声が入っていなかった」という経験は、多くの人が直面するトラブルです。
その原因は一つではなく、複数の可能性が考えられます。
主な原因として、以下の4点が挙げられます。
原因1:ステレオミキサーが正しく設定されていない
前述の通り、Windowsの標準機能で内部音声を録音する場合、ステレオミキサーが有効かつ既定のデバイスになっている必要があります。
これが無効に戻っていたり、他のデバイス(マイクなど)が既定になっていたりすると、内部音声は録音されません。
まずはこの設定を再確認するのが基本です。
原因2:音量設定がミュートまたはゼロになっている
非常に単純ですが、見落としがちなポイントです。
PC本体のシステム音量がミュートになっていたり、録音・録画ソフト内の音量設定がゼロになっていたりすると、当然音は記録されません。
特に、複数の音量ミキサー(PC本体、アプリごと、ソフト内など)があるので、録音に関わる全ての音量設定を確認しましょう。
原因3:アプリのマイクアクセスが許可されていない
Windows10のプライバシー設定により、アプリがマイク(録音デバイス)にアクセスするためにはユーザーの許可が必要です。
これがオフになっていると、録音ソフトは音を拾うことができません。
「設定」→「プライバシー」→「マイク」と進み、「アプリがマイクにアクセスできるようにする」がオンになっているか、そして一覧の中にある該当の録音ソフトがオンになっているかを確認してください。
原因4:イヤホンやヘッドホンを接続している
お使いのPC環境によっては、イヤホンやヘッドホンを接続していると、音声の出力先がそちらに限定され、ステレオミキサーが音を拾えなくなることがあります。
もし録音がうまくいかない場合は、一度イヤホンなどを取り外して試してみる価値があります。
これらの点を一つずつチェックしていくことで、ほとんどの「音が録音されない」問題は解決するはずです。
Windows11での内部音声の録音方法

Windows11でも、パソコンの内部音声を録音する基本的な考え方はWindows10と同じで、「ステレオミキサー」を有効にして録音アプリを使用します。
しかし、標準の録音アプリの名前が「サウンドレコーダー」に変わり、設定画面の場所(UI)が大きく変更されました。
Windows11でのステレオミキサー有効化手順は以下の通りです。
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「設定」を開きます。
- 左のメニューから「システム」を選び、右側で「サウンド」をクリックします。
- 画面を下にスクロールし、「入力」セクションの「サウンドデバイスをすべて表示」をクリックします。
- 入力デバイスの一覧から「ステレオミキサー」を見つけてクリックします。
- 「オーディオ」の項目で、「許可」ボタンをクリックして有効にします。(ボタン名が「許可しない」になっていれば既に有効です)
- 前の画面に戻り、「入力」セクションで録音に使うデバイスとして「ステレオミキサー」を選択します。
Windows10のコントロールパネルに慣れていると少し戸惑うかもしれませんが、Windows11では「設定」アプリ内に全ての機能が集約された形になっています。
この設定が完了すれば、あとはスタートメニューから「サウンドレコーダー」を起動して録音するだけです。
基本的な流れはWindows10と変わりませんが、設定画面の場所が違うことを覚えておきましょう。
サウンドレコーダー内部録音のポイント

Windows11に搭載されている「サウンドレコーダー」は、Windows10の「ボイスレコーダー」からデザインや機能がアップデートされています。
内部音声を録音する際に知っておくと便利なポイントがいくつかあります。
最大のポイントは、録音デバイスをアプリ内で直接選択・確認できるようになった点です。
サウンドレコーダーを起動すると、録音ボタンの左下に現在選択されている入力デバイス名が表示されます。
ここで「ステレオミキサー」が選択されていることを確認してから録音を開始すれば、間違いなく内部音声を録音できます。
サウンドレコーダーの主な特徴
- UIの刷新:よりモダンで分かりやすいデザインになりました。
- デバイス選択機能:アプリ内で録音デバイスを直接切り替えられます。
- 再生速度の変更:録音した音声を0.25倍から4倍速まで変更して再生できます。
- ファイル形式の変更:設定から録音ファイルの形式をM4Aだけでなく、MP3やWAVなどに変更可能です。
もしサウンドレコーダーのデバイス選択欄に「ステレオミキサー」が表示されない場合は、前項のWindows11の設定手順に戻って、ステレオミキサーが有効になっているか再確認してくださいね。
このように、サウンドレコーダーは単なる後継アプリではなく、ユーザーの利便性を向上させるための多くの改良が加えられています。
特にデバイス選択機能は、録音ミスを防ぐ上で非常に役立つ機能と言えるでしょう。
パソコン内部音声のみ録音Macでの手順

一方、Macでパソコンの内部音声を録音する場合、Windowsとは少し事情が異なります。
結論から言うと、Macの標準機能だけでは内部音声の録音はできません。
Windowsのステレオミキサーに相当する機能がmacOSには搭載されておらず、標準の録音アプリ「QuickTime Player」や「ボイスメモ」は、基本的にマイクからの音声しか拾えない仕様になっています。
そのため、Macで内部音声を録音するには、「仮想オーディオデバイス」と呼ばれるサードパーティ製のツールを別途インストールする必要があります。
代表的なツールとして、「BlackHole」や「Soundflower」といった無料のツールがあります。
これらをインストールすることで、以下のような手順で内部録音が可能になります。
- 「BlackHole」などの仮想オーディオデバイスをインストールします。
- 「システム環境設定」の「サウンド」を開き、「出力」タブで「BlackHole」を選択します。これでPCの音声が仮想デバイスに流れるようになります。
- QuickTime Playerで「新規オーディオ収録」を開始し、録音ソースとして「BlackHole」を選択します。
- 録音を開始すると、PC内部の音声が録音されます。
この設定中は、PCの音がスピーカーから聞こえなくなります。
録音しつつ音も聞きたい場合は、「Audio MIDI設定」で「複数出力装置」を作成する、といったさらに高度な設定が必要になります。
このように、Macでの内部音声録音はWindowsに比べて少し手順が複雑で、追加のツールが必須となります。
手軽さの面ではWindowsに軍配が上がると言えるかもしれません。
知っておきたいパソコン音声録音の注意点

パソコンの内部音声を録音する機能は非常に便利ですが、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、以下の内容を必ず理解しておきましょう。
著作権の侵害に注意する
最も重要な注意点が著作権です。
例えば、有料の音楽配信サービスや映画、テレビ番組、違法にアップロードされた動画などを録音・録画する行為は、著作権法に抵触する可能性が非常に高いです。
個人的に楽しむためだけの「私的利用」の範囲であっても、技術的保護手段(コピーガードなど)を解除しての録音は違法となります。
録音する際の心構え
録音は、あくまで著作権法で認められた範囲内で行う必要があります。
オンライン会議の自分用のメモや、著作権フリーの音源を利用したコンテンツ制作など、合法的な目的でのみ使用してください。
プライバシーへの配慮
オンライン会議や通話などを相手の許可なく録音する行為は、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。
重要な情報を記録として残したい場合は、必ず事前に全ての参加者に録音する旨を伝え、同意を得るようにしましょう。
これはビジネスマナーとしても非常に重要です。
ストレージの空き容量
音声データ、特に高音質で長時間録音した場合、ファイルサイズは思った以上に大きくなります。
録音を開始する前に、保存先となるドライブに十分な空き容量があるかを確認する習慣をつけましょう。
容量不足になると、録音が途中で停止してしまう原因になります。
これらの注意点を守ることで、安心して録音機能を利用できます。
特に著作権に関する知識は、自分自身を守るためにも不可欠です。正しく、そして賢くテクノロジーを活用していきましょう。